AI受託開発

Engineer Cafe Navigator — 多言語音声AIで受付を支えるOSS実績

福岡市エンジニアカフェの受付を支える多言語音声AIエージェントを、マルチエージェント構成で開発・実運用し、ISCライセンスのOSSとして公開しています。

課題

福岡市のエンジニアカフェには、国内外から多様な来館者が訪れます。開館時間や設備、イベント情報といった問い合わせは幅広く、海外からの来館者への対応も日常的に発生します。スタッフが一件ずつ丁寧に答えることは大切にしたい一方で、新規の来館者対応にかかる負担が積み重なり、利用者自身が知りたい情報にすぐたどり着けないという課題感がありました。

アプローチ

私たちが最初に決めたのは、単一のLLMに質問をそのまま投げて答えを返す作りにはしない、ということでした。案内・営業時間・イベント・会話記憶といった役割ごとに専門のエージェントを分け、それを束ねるルーティング役を置く設計です。答えを丸投げにせず、どのエージェントがどう判断したかを追える構成にすることで、多言語対応や案内の正確さを積み上げていけると考えました。あわせて、実運用で磨いた仕組みを社会に還元する意味も込めて、OSS(ISCライセンス)として公開する方針を決めています。

実装

フロントエンドはNext.js 15で構築し、3D VRMキャラクターによるキオスク型のUIを用意しました。バックエンドはLangGraph Supervisor構成によるマルチエージェントで、ルーティング・施設案内・営業時間・イベント案内・会話記憶などの専門エージェント群が連携します。データベースはSupabase(PostgreSQL + pgvector)を採用し、日本語の知識ベースを他言語の質問にもそのまま使える多言語RAG(社内文書などをAIに参照させる仕組み)設計としました。音声認識・音声合成はGoogle Cloudを利用しています。品質面では、RAGAS(RAG回答品質の評価フレームワーク)による評価ゲートを設け、ADR(設計判断の記録)を残しながら開発を進め、短期・長期の会話メモリ設計にも取り組みました。

成果

Engineer Cafe Navigatorは実運用中で、来館者は多言語で施設案内や営業時間、イベント情報を尋ねられるようになりました。規模は182,368行・1,506コミット・貢献者8名(エンジニアカフェ公式スタッフを含む、git実測・2026年6月時点)で、そのうち自社寄与率は87.7%(git実測)です。OSSとして公開したことで、コミュニティを含めた形で改善が続く体制になっています。まずは動くものを作って終わりにせず、ルーティング・検索・評価まで含めた本番構成にしたことが、今の安定運用につながっていると考えています。

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