Grift — 散らばった顧客の声を、開発チームの仕様に変える
見積もりの根拠が属人化しがちな受託開発の現場で、実績や相場をもとに「説明できる参考見積もり」を組み立てるAIプロダクトGrift。散らばった要望を要件・見積もり・作業パケットへ構造化します。
課題
受託開発の現場では、案件の入り口で「顧客が本当に欲しいもの」が言語化されていないことがほとんどです。問い合わせフォーム、チャット、議事録に断片的な要望が散らばり、それを開発チームが手作業で読み解き、要件へ翻訳する。この「最初の整理」に多くの時間が溶けていました。
もう一つ、私たち自身も当事者として抱えていた課題があります。見積もりの根拠です。同じような案件でも、担当者の経験や勘によって金額の出し方がぶれることがあり、なぜその金額になったのかを顧客にもチームにも説明しきれない場面がありました。属人化した見積もりは、ベテランが抜けた瞬間にブラックボックスになります。Griftは、この2つの課題を同時に解こうとして生まれたプロダクトです。
アプローチ
不定形なテキストをそのまま扱うのではなく、AIで「意図の分解 → 不足情報の補完 → 構造化」という段階を踏ませる設計にしました。人間が最終判断を握りつつ、機械的な整理はAIに任せることで、見落としと手戻りを減らすことを狙っています。
見積もりについても、AIに金額をそのまま出させることはしませんでした。過去の実績や相場といった材料を土台に、「なぜこの金額になるのか」を人間が説明できる参考見積もりとして組み立てる、という設計思想です。AIに丸投げして終わりにするのではなく、最終的な判断と説明責任は人間が持つ、という一線を崩さないようにしています。
実装
入力された生のテキストをAIが解析し、変更要求の単位へ分解。不足している情報は追加質問として提示し、回答が揃った時点で完成度をスコアリングします。十分に揃った要望は要件・見積もり・作業パケットへ変換され、開発チームがそのまま着手できる形で出力されます。
見積もりの生成では、構造化された要件に対して過去実績や相場感といった材料を突き合わせ、根拠を添えた参考見積もりとして提示します。金額だけでなく「何を根拠にその数字になったか」までチームが確認できる形にしていることが、このプロダクトのこだわりです。現在はTeam Betaとして社内外の実案件で検証を続けている段階で、Griftそのものについては griftai.org でも紹介しています。
成果
案件の入り口で発生していた「整理のための整理」が圧縮され、開発チームは要件の確認と実装の判断により多くの時間を割けるようになりました。顧客とのやり取りも、何が決まっていて何が未確定かが可視化されることで、認識のズレが起きにくくなっています。
見積もりの根拠が言葉にできるようになったことで、属人化していた判断をチームで共有し、引き継げるようになってきました。Grift自体はまだ検証中のプロダクトですが、「AIに丸投げしない見積もり」という考え方は、私たちが受託開発の案件で日々向き合っている課題そのものです。まずは私たちの現場で育て、手応えを持って外にお伝えできる形にしていきたいと考えています。
この事例について、もっと知りたい方へ
あなたの現場の課題も、一緒に考えさせてください。